作品「大公の聖母」について
現在は、イタリアのフィレンツェにあるピッティ宮殿内の、パラディーナ美術館に所蔵されています。聖母マリアが、幼子イエスを抱いている構図で、描かれています。この絵画の特徴は、聖母の体に、イエスの手が触れていることです。この手は、母子の深い愛情と絆を象徴しています。また、イエスの顔は、無邪気さと神聖さをもって、描かれています。
「大公の聖母」 という作品名の由来は、所有者であるトスカーナ大公フェルディナンド3世が、特に大切にしていたからです。
作品「大公の聖母」の科学的検証?加筆?
巨匠ラファエロの作品『大公の聖母』の黒い背景は、後世の人物の加筆か?
『大公の聖母』は、ルネッサンス期の巨匠ラファエロ・サンツィオが、制作した作品です。 ラファエロの聖母子像の中でも、特に有名です。黒い背景は、後の人が加筆したものであることが、分かっています。
X 線撮影による検査で、黒の背景の下に風景が、描かれていることが判明しました。拡大撮影で黒の背景を調べた結果、ラファエロとは異なるタッチであることが判明しました。剥離した所が背景の最下層にあった。これは、加筆が、年数が経過した後にされたものである。すなわち、ラファエロとは別人物である。黒い背景は、後世の人物が付け加えたもの。下の風景は、ラファエロの描写。調査では、興味深いことが証明されました。
聖母は穏やかな表情で、幼子イエスに愛情を注いでいます。この絵画は、光と影、色彩、人物の表情など、ルネサンス美術の特徴的な要素を備えており、ラファエロの、芸術的スキルを示す作品とされています。
牧場の聖母
別名「ベル・ヴェデーレの聖母」とも呼ばれています。「ベル・ヴェデーレ」は、イタリア語で「美しい眺め」を意味し、この絵画は美しい景色を背後にして、聖母マリアが描かれているため、この名前がつけられました。
小椅子の聖母
聖母は椅子に座り、幼子イエスを優しく抱いています。彼女の表情は穏やかで、母親としての愛情が、豊かに表現されています。イエスも母親の膝に座り、幸せそうな表情を浮かべています。
システィーナの聖母
絵画の中央下部には2人の天使が、聖母とイエスを眺めており、その美しさと神秘的な表情が印象的です。また、絵画の両脇には、聖ペトロと聖バルタザールが描かれており、彼らはラファエロの時代に、広く信仰されていた聖人です。
ラファエロの足跡
ラファエロは、ダヴィンチやミケランジェロの噂を聞き、フィレンツェに移住しました。17歳のとき、ラファエロはウルビーノを離れてフィレンツェに移り、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロといった、芸術家たちの影響を受けました。特に教皇ユリウス2世の宮廷で活躍しました。
ラファエロは、その作品から美的な完璧さと調和を追求し、クラシカルな美学を展開しました。作品はルネサンス美術の代表的な例とされ、多くの芸術家に影響を与えました。
絵画様式について
ラファエロの絵画の様式は師匠のベルジーノからも、強い影響を受けました。ダヴィンチからは、スフマート技法を取り入れています。 スマート技法とは、輪郭線ではっきり描かないで、ぼかして描く、絵画技法です。
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